鳥吉英伸 Hidenobu Toriyoshi 【獣医師】熊に遭遇した際の対処法の誤りで死亡。福岡大ワンダーフォーゲル部羆襲撃の教訓 #野生動物 #動物 #熊 鳥吉英伸 Dr. Hidenobu Toriyoshi, PH.D, DVM
福岡大ワンダーフォーゲル部羆襲撃事件。 「お~熊がいるぜ。すげー、石投げてみようよ。」大学生が熊を刺激し5人中3人死亡。腹部をえぐった爪痕。逃げても逃げてもヒグマは追いかけて来た。3日間で6回襲撃の惨劇。 1970年7月、日高山系で福岡大学ワンダーフォーゲル部の学生3人がヒグマに襲われ死亡しました。この事件は以下のように展開しました。 7月25日、5人の学生はテントを設営中にヒグマが現れました。学生たちは食料をあさるヒグマからザックを取り返しましたが、その後もヒグマは何度か襲撃を繰り返しました。26日の朝、撤収中に再びヒグマが現れ、学生はヒグマとテントを引っ張り合いました。その後、2人が救援を求めて下山し、残った3人と合流しましたが、夕方に再びヒグマに襲われ1人が死亡。残った3人は岩場でビバークしました。 翌27日の朝、霧の中で再びヒグマが現れ、リーダーのA君が追われて死亡。他の2人は八の沢に逃れ、無事保護されました。孤独に夜を過ごしたC君は、27日の午後まで生存していたが、その後ヒグマに襲われました。 この事故は、ヒグマが一度手に入れた食料を取り返したことが原因で、ヒグマが攻撃的になったと分析されています。また、複数の人が固まって行動することが重要とされています。事故後、ヒグマは射殺されました。 この事故から学ぶべき教訓は、ヒグマに対する正しい対処法の重要性です。ヒグマに遭遇した場合は、落ち着いて後ずさりしながら遠ざかり、決して背を向けて逃げないことが基本です。また、ザックを取り返す行動は自殺行為であるため避けるべきです。 ヒグマに遭遇した際の対処が誤っていた点については以下の通りです。 ヒグマがあさった荷物を取り返したため、ヒグマに敵と見なされました。ヒグマは執着心が強く、一度手に入れたものを取り返すのは非常に危険です。 ヒグマに遭遇しても直ちに下山せず、物珍しさから登山を続けたことも問題でした。下山せずに留まったために危険を避ける機会を逃してしまいました。 逃げる際にヒグマに背を向けてしまい、ヒグマの追跡本能を刺激してしまいました。背を向けることは非常に危険です。 ヒグマに遭遇した際の対処法を事前に確認していなかったことも誤りでした。九州からの登山客でヒグマに詳しくなかったため、適切な対処ができませんでした。 時間や悪...